| 対象学生 |
全学部、山梨大学生、科目等履修生(社会人・高校生等)、特別聴講生(大学コンソーシアムやまなし等)
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| 授業の目的 |
現代社会は、価値観や制度が急速に変化し、将来を予測することが困難な時代となりました。このような社会において、私たちは知らず知らずのうちに、過去の成功モデルや社会的な期待を前提に物事を捉え、自分自身の在り方や選択を狭めてしまうことがあります。本授業では、起きている事象や出来事そのものだけでなく、それらを生み出している社会の前提や構造、そして同時にそれらを「そう捉えている自分自身の意識の在り方」に目を向けます。U理論を手がかりとして、自己イメージや判断の前提、注意の向け方に気づき、「私は何者か?」という問いと向き合い続ける力を養うことを目的とします。本科目を通して、社会やキャリアにおいて明確な答えや計画を得ることではなく、変化や不確実さの中で、自分自身の意識に立ち返りながら選択していくための基盤となる在り方を身につけます。
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| 到達目標No.1 |
U理論を理解し、事象や自分自身の反応の背後にある「意識の在り方」を、構造的かつ論理的に捉えることができる。
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| 到達目標No.2 |
U理論を通して得られた、自分自身の前提・自己イメージ・注意の向きに関する気づきを、言葉として説明することができる。
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| 到達目標No.3 |
U理論から得た理解をもとに、社会やキャリアにおける選択を、従来とは異なる意識の持ち方で捉え直すことができる。
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| 成績評価の方法 |
| 評価の方法 |
割合(%) |
評価の基準 |
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到達目標No.1
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50%
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各回の授業への参加姿勢、問いやワークへの向き合い方、対話や内省のプロセスを通して、U理論の基本的な考え方や意識の構造を理解しようとしているかを評価する。
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到達目標No.2
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10%
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第5回の課題発表等を通して、U理論の視点から得られた自分自身に関する気づきや理解を、自分の言葉で整理し、説明しようとしているかを評価する。
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到達目標No.3
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40%
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第6回から第8回にかけての課題発表等を通して、U理論から得た理解をもとに、社会やキャリア、自分自身の選択をどのように捉え直しているかを表現できているかを評価する。
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| 合計 |
100%
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| 授業の方法 |
本授業は講義による理論理解を基盤としつつ、対話やワークを通して自分自身の内面や意識の在り方を振り返る体験型の授業として実施します。理解や結論を急ぐのではなく、問いに向き合うプロセスそのものを重視します。
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| 受講に際して・学生へのメッセージ |
本科目は「正解を見つける授業」でも「自分を変える授業」でもありません。私たちが日常の中で知らず知らずのうちに前提にしている価値観や自己イメージに気づき「私は何者か?」という問いとどのように向き合って生きていくのかを扱う授業です。すぐに答えが出なくても構いません。分からなさや揺らぎを含めて、自分自身の意識の在り方に目を向けることで、社会や他者の期待に合わせる前に、自分として選択していく感覚に触れていくことができます。この授業が、問いを持ちながら生きていくための一つのきっかけになることを願っています。
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| 教科書 |
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テキスト
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なし
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参考書
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C・オットー・シャーマー『U理論[エッセンシャル版]――人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する』英治出版
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| 授業計画の概要 |
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タイトル
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(6/17水) 何故、今、U理論なのか?
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授業内容
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現代社会が大きく変化する中で、私たちは「自分で選んで生きているつもり」でありながら、知らず知らずのうちに社会や周囲の期待に適応して生きている。本授業では、親世代の成功モデルや社会的な価値観と、現在の社会状況とのズレに着目し、「社会に合わせること」と「自分として生きること」は同じなのか、という問いを立てる。高校生の頃に描いていた将来像と現在の自分を振り返るワークを通して、無自覚な前提に気づく。
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事前学習
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事後学習
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授業で扱った「社会に合わせること」と「自分として生きること」の違いについて、印象に残った点や違和感を振り返る。
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タイトル
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(6/24水) U理論とは?
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授業内容
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「私とは何か?」を構造的に理解することを目的とする。私たちが日常的に使っている自己イメージ(「私はこういう人間だ」)が、どのような前提や思い込みから形成されているのかを扱う。自己イメージは真実の自己ではなく、過去の経験や環境からダウンロードされた仮の理解である可能性を検討し、U理論を自己理解のフレームとして位置づける。
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事前学習
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事後学習
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タイトル
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(7/1水) U理論にある言語の、それぞれの意味
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授業内容
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U理論における基本的な言語である Downloading・Seeing・Sensing を取り上げ、それらが能力や成長段階ではなく「意識の向け方の違い」であることを学ぶ。SNSやニュースを題材に、事実・解釈・身体感覚を区別するワークを行い、自分が普段どこに注意を向けて世界を見ているのかを観察する。
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事前学習
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事後学習
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日常生活の中で、出来事に対して自分がどこに注意を向けて反応しているか(事実・解釈・身体感覚)を意識してみる。
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タイトル
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(7/8水) U理論を実践するとは?
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授業内容
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U理論における「実践」を、成果や行動変容としてではなく、「気づいたことに気づく」というメタ認知のプロセスとして捉え直す。日常生活の中で起きている反応や思考に後から気づくこと自体が実践であることを理解し、実践への心理的ハードルを下げる。
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事前学習
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事後学習
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タイトル
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(7/15水) SeeingとSensing
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授業内容
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判断や解釈をいったん保留して「観る」こと(Seeing)と、言葉になる前の身体感覚や関係性を感じ取ること(Sensing)の違いを体験的に学ぶ。ペアワークを通して、「私は知っている」という前提が観ることを妨げていることに気づき、知覚の質が変わる体験を行う。
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事前学習
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事後学習
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タイトル
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(7/22水) CrystallizingとPrototyping
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授業内容
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言語化された答えを出すことよりも、言語化される前の意識に注意を向けることを重視する。「今、手放したくない大切なものは何か?」という問いとともに沈黙の時間を持ち、意識の深まりから方向感や輪郭がにじみ出てくる感覚を扱う。小さく触れてみる試みとしてのプロトタイピングを理解する。
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事前学習
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事後学習
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タイトル
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(7/29水) Presencing
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授業内容
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何かを決めたり理解したりすることを目的とせず、「よく分からないが出現しようとしているもの」を信頼し、それが現れるためのスペースをつくることを体験する。「何も起きなくても失敗ではない」場を共有し、沈黙や空白とともに居ることを通して、Presencing の在り方に触れる。
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事前学習
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事後学習
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タイトル
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(8/5水) U理論的な私
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授業内容
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講座全体を振り返り、「私は何者か?」という問いに対して答えを出すのではなく、その問いを持ち続ける在り方を言語化する。自己イメージを固定せず、これからの人生やキャリアの選択において問いとともに生きていく姿勢を確認し、本講座を締めくくる。
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事前学習
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事後学習
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本講座を通して、「私は何者か?」という問いと今後どのように付き合っていきたいかを整理する。
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| 実務経験のある教員による授業科目の概要 |
人材開発や組織開発をサポートする事業などを展開する株式会社CCAなど複数企業の経営者として、社会における様々なプロジェクトの企画・実施を行ってきた担当教員が、その経験を活かし本科目の企画及び指導を行う。
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| 備考 |
・本科目は、14:50~16:20の時間帯に山梨県立大学飯田キャンパスで実施します。 ・令和5年度まで開講していた「事業づくりの技法」と同じ手法を用いますので、同科目履修済の方にはお勧めしません。 ・他大学の学生や社会人等とともに学ぶ「PENTAS YAMANASHI」の科目です。
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